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前に進もう…少しずつ。少しずつ。

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ここでは、通奏低音がどんなものかざっくり説明します。

「通奏低音Basso Continuo(伊)」は1600年前後にイタリアで発達し、その後ヨーロッパの他の国にも広まった理論、または演奏習慣と言えるものです。
簡単に言うと、曲の最低声部に対して適切な和音を付けて、伴奏したり、作曲したりするもので、主にバロック時代と区分される17世紀~18世紀には、この理論がベースとなって音楽が作られました。

作曲された音楽の中に出てくる際には、

「数字付き低音(Figured bass(英)bezifferter Bass(独) basse chiffrée(仏) basso numerato(伊)etc...)」

と呼ばれる、演奏する和音のガイドとなる、数字がその曲の最低音の声部に付けられた記譜法で書かれ、鍵盤楽器やリュート、ハープなどの和音を出せる楽器、チェロやファゴットなどの低音の旋律楽器が単体、または複数組み合わされてそのパートを演奏しました。

〇伴奏

例えば、これはジュリオ・カッチーニの「愛の神よ、私は去り行くAmor, io parto, e sento nel partire」ですが、上の声部が歌、下の声部が「数字付き低音」で書かれています。


この楽譜を見ながら、例えばこんな風に和音を付けて伴奏します。


このように、「数字付き低音」に基づいて和音を付けていくことをレアリゼーションと言います。伴奏するときには和音や声部を補うことで、アンサンブルをしっかり支え、曲の骨格を作ってあげるのが通奏低音の役割です。
そのため、通奏低音奏者には対位法、和声、言葉、舞曲のリズムなどなど、様々なことに対する知識が求められます。

どのように和音をレアリゼーションしていくかについては、各時代、各国で残っている資料を基に知ることが出来ます。
例えば、このカッチーニのレアリゼーションは4声のシンプルな形で書いてみましたが

声部の数、
アルペジオの方法、
和音の種類

などには様々な可能性があります。

〇分析や作曲、即興に取り組むために…

通奏低音はバロック時代の「伴奏法」だけに使われるものではありません。作曲や分析のベースになっているものです。
通奏低音の和音にはいくつか良く使われるパターンがあります。特に時代が下るにつれて、曲の中に現れる和音の進行が似通ってくるため、パターンを知っているだけで弾きやすくなり、曲も理解しやすくなってきます。


例えば

カデンツの形の1つ



4→3の繫留

7の連続

7→6の連続

5→6の連続


等々です。これらに加えて、パッサカリア、フォリア、パッサメッツォ、ルッジェーロなどの各種オスティナートバス(固執低音)も決まった低音の動き方を繰り返します。

数字が読めて、これらの和音のパターンを少しずつ知っていくことで、各楽器のソロ曲や、通奏低音のつかない無伴奏の単旋律の曲など、様々な曲の分析に取り組めるようになります。
また、同じ和音の進行や低音の動き方を真似して、それぞれの様式での即興演奏にも有用です。

ここに紹介したのは代表的な進行の一部ですが、レッスンではこれに加えて対位法を学んだり、取り組む作品に合わせて各時代や各国の理論書を一緒に見ていくことで、バロック時代の音楽家たちの「耳」に近づけるよう勉強していきます。









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プロフィール

HN:
曽根田 駿 Soneda Hayao
年齢:
32
性別:
男性
誕生日:
1992/08/31
職業:
チェンバロ、古楽ハープ弾き
自己紹介:
愛媛県松山市出身。
4歳からピアノを始める。
松山南高等学校在学中、チェンバロに出会い転向する。

東京芸術大学音楽学部器楽科チェンバロ専攻卒業。在学中、2年次よりバロックダンス部の部長を務める。
2015年より渡仏し、リヨン国立高等音楽院CNSMDLのチェンバロ専攻学士課程に在学。2018年6月に演奏家ディプロマDNSPMを取得した。
2018年9月より、同校のクラヴサン―通奏低音専攻修士課程、及び古楽ハープ学士課程在学。

ピアノを冨永啓子氏、チェンバロを石川陽子、大塚直哉、西山まりえ、Y.レヒシュタイナー、J-M.エイム、D.ベルナーの各氏に師事。
古楽ハープを西山まりえ、A.モイヨンの各氏に師事。

2014年3月に初のソロリサイタルを萬翠荘(愛媛)にて開催。
2015年3月には『ハープ祭り2015(西山まりえ氏主宰)』において、『プチっとリサイタル』に選出され、ゴシックハープで出演する。
東京芸大在学中より様々なアンサンブルとも共演し、ソロ、通奏低音共に研鑽を積んでいる。

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