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前に進もう…少しずつ。少しずつ。

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世界的に大変なことになっているコロナウイルス対策ですが、とうとうフランスも今週から休校、そして火曜からは外出制限までかかってしまいました。
年が明けてからは結構忙しくしていたのですが、ここにきてまさかの休みが出来てしまいました。
せっかくだからゆっくりしつつ、この時間にこそ出来る勉強に励もうかなと思っています。
先生たちも何だかんだ課題を出してくるので退屈しなさそうです。

今日は1月からのことと、先日ようやく終えた僕の修士論文について書こうかなと思います。



〇1月から3月までのこと
振り返ってみると1月は、
ヴァイオリン奏者の出口実祈さんの伴奏でイタリアのロヴェレートに一緒に行かせてもらったり、

今年度が始まってから準備していたモンテヴェルディの『ポッペアの戴冠』を抜粋で演奏したりと、演奏の準備で有意義な時間を沢山過ごしました。

2月は後半がバカンスだったのですが、明けてすぐに論文の提出があったので、休み中は友達にフランス語の確認を頼んで、直しながらせかせか書いて、ようやく終わりました。

3月にはマルセイユのMars en Baroqueという音楽祭で少し弾かせてもらったり、ハープ科の演奏会で17世紀イギリス音楽に取り組んだりして、論文から解放されて演奏できることを喜んでいたのですが、この2つを終えた週に、現在のような国を挙げての一斉休校になってしまいました。

〇論文の内容について
論文は『ボーシャン=フイエ記譜法の普及と18世紀イギリス音楽への影響Le rayonnement du "système Beauchamp-Feuillet" et son influence sur la musique anglaise au XVIIIème siècle
というタイトルで書きました。バロックダンスについての論文です。

深くダンスに関わるようになったのは芸大の1年生の時にたまたま誘われて入ったバロックダンス部がきっかけだったのですが、なんだかんだ部長になり、なんだかんだ舞踏譜を読めるようになって、興味も知っている内容も少しずつ深くなってきていたので、前々から自分の知識の整理もかねて、何かまとまったものに残したいなと思っていたので、今回このテーマを選ぶことになりました。

『ボーシャン=フイエ記譜法』はルイ14世の治世に考案された、踊りを書き記すための方法で、その時代のフランス様式の踊りをヨーロッパ中に普及させるのに大きな役割を果たしました。現在バロックダンスと呼ばれている踊りを再構築するときには、この記譜法で書かれ、出版された舞踏譜、そしてそれを説明するために書かれた理論書を基にしています。踊りを書き記す方法は他にも考案されているのですが、結局この記譜法が最も普及しました。

↑舞踏譜

なぜイギリスのダンスに注目したかというと、ヨーロッパ諸国の中でもイギリスではとりわけ多くの舞踏譜が出版されており、ホーンパイプのようにイギリスでしか出版されなかったタイプの舞曲があったり、ヘンデルのオペラの中の曲に振り付けがされていたりと、独自の発展も見受けられるからです。

↑ホーンパイプの舞踏譜


↑ヘンデルの『シピオーネ』の中のマーチの振り付け


記譜法について詳しくまとめたり、フランスとイギリスでの細かなステップの違いを見ていったりしていったものの、やはり2年じゃリサーチの時間が全然足りませんでした。また、初の論文をフランス語で、しかも体の動きを文章で伝えるという作業は正直とても大変でした!18世紀の教則本を読みながら、それを書き記した18世紀のダンス教師たちには頭が下がる思いでした...(笑)
もちろん今回調べたことで、今までぼんやりとしか知らなかったことがクリアになったし、新しいことも多く知れたのですが、それをまとめるのが今の状態では限界で、特に踊りを実践して分析してみる時間はほとんどありませんでした。

踊りのステップやフィギュアにはその振り付けをした人が、どのようにその音楽を聴いていたかが反映されていると個人的に思うのですが、それも振り付けを踊ってみないことにはわからないところもあるので、修了してからも今回書いた修論をこれからの自分のリサーチのベースにしていけると良いなと思います。

というわけで今日はこんなところで。。。
学校が忙しいのも大変ですが、少しでも早く元の生活に戻れますように!

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プロフィール

HN:
曽根田 駿 Soneda Hayao
年齢:
31
性別:
男性
誕生日:
1992/08/31
職業:
チェンバロ、古楽ハープ弾き
自己紹介:
愛媛県松山市出身。
4歳からピアノを始める。
松山南高等学校在学中、チェンバロに出会い転向する。

東京芸術大学音楽学部器楽科チェンバロ専攻卒業。在学中、2年次よりバロックダンス部の部長を務める。
2015年より渡仏し、リヨン国立高等音楽院CNSMDLのチェンバロ専攻学士課程に在学。2018年6月に演奏家ディプロマDNSPMを取得した。
2018年9月より、同校のクラヴサン―通奏低音専攻修士課程、及び古楽ハープ学士課程在学。

ピアノを冨永啓子氏、チェンバロを石川陽子、大塚直哉、西山まりえ、Y.レヒシュタイナー、J-M.エイム、D.ベルナーの各氏に師事。
古楽ハープを西山まりえ、A.モイヨンの各氏に師事。

2014年3月に初のソロリサイタルを萬翠荘(愛媛)にて開催。
2015年3月には『ハープ祭り2015(西山まりえ氏主宰)』において、『プチっとリサイタル』に選出され、ゴシックハープで出演する。
東京芸大在学中より様々なアンサンブルとも共演し、ソロ、通奏低音共に研鑽を積んでいる。

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