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5/23(土)の『小さな楽器の声』で演奏する楽器を紹介します。
今回はゴシックハープ。
あ、今回は文章長くなると思いまーす(-_-;)

まずは演奏する楽器の写真。
ドイツの製作家、エリック・クラインマンEric Kleinmann氏が作ったゴシックハープ。


モデルは15世紀北ヨーロッパを代表する画家、ヤン・ファン・エイク(1390/1395?~1441)とその兄、フーベルト・ファン・エイク(1358/1390?~1426)が共作したといわれる『ヘントの祭壇画Gents altaarstuk(1434?)』。(リコーダーで有名な彼とは一応関係ありません。)
フーベルトが製作開始したものの、途中で亡くなったために弟のヤンが引き継いで完成させたといわれています。どの部分が兄、どの部分が弟が描いたかは不明なようです。こんな絵↓
 
長い歴史の中で、火災にあったり、盗難にあったり、ナポレオンがフランスに略奪したり、ナチス・ドイツが洞窟に隠して仕舞ったり…紆余曲折があって、現在は元のベルギー、ヘントにあるシント・バーフ大聖堂に所蔵されているようです。
この絵のどこにハープが描かれているかというと、上段の向かって右から2番目のパネル。女性(イヴ)のお隣にあるパネルの、オルガンのパイプの裏です。拡大するとここ↓

画のことにいつまでも触れていると、話が進まないので、とりあえずこのへんで。とにかくこの絵をもとに作られたコピーです。

次!この楽器、『ゴシックハープ』と現代我々は呼んでいますが、実はこの楽器のある大きな特徴についての記録はミヒャエル・プレトリウス(1571?~1621)の書いた音楽大全(シンタグマ・ムジクム) Syntagma musicum』(1614~1620)の中にも残っているのです。つまりどれくらいの使用頻度だったかはわかりませんが、バロック時代に差し掛かる辺りまで、使われていたようなのです。その大きな特徴は弦を止めてあるこれ↓
 ブレイピンと呼んでいます。brayはロバとかの鳴き声、いななきを意味します。ここに弦を当てて演奏すると、本当にビリ付いた、ロバの鳴き声のような独特な音色が出るのです。プレトリウスは、『普通の』ハープはこのビリ付いた音が出たと書いています。これは1619年に書かれた記述ですが、モデルとなったファン・エイク兄弟の画と比べると実に200年近くも開きがあり、非常に驚くべきことです。
ただ、プレトリウスの頃になると半音操作の面でかなり無理があったのではないかなと思ってしまします。というのも、半音操作するレバーもペダルも無ければ、半音用の弦も無いため、もともと調弦を変えていないと、とっさの#、♭には対応しにくいのです。弦の上か下を片方の手で押さえることで、どうにか出せはするのですが、そうなると片手でしか弾けない上に、音程も作りにくいのです。
そのためかどうかはわかりませんが、後のハープには半音を出せるように弦の列が2列、3列に増えたり、現代のハープに見られるようなペダルが付けられたりします。

実はこのゴシックハープを指定したソロのレパートリーというのはなく、色々な記述をみると盛んに演奏され、名手もいたことは間違いないのですが、実際どう演奏されていたのか、作品、奏法も謎が多いのです。

いやー…長いですね(^-^;この辺にします。
絵画では天使のが持っていることの多いハープ。個人的には、弾いていて別の世界に連れて行ってくれるような感じがします。ともかく!是非是非、実際に音色をお聞きください!

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プロフィール

HN:
曽根田 駿 Soneda Hayao
年齢:
32
性別:
男性
誕生日:
1992/08/31
職業:
チェンバロ、古楽ハープ弾き
自己紹介:
愛媛県松山市出身。
4歳からピアノを始める。
松山南高等学校在学中、チェンバロに出会い転向する。

東京芸術大学音楽学部器楽科チェンバロ専攻卒業。在学中、2年次よりバロックダンス部の部長を務める。
2015年より渡仏し、リヨン国立高等音楽院CNSMDLのチェンバロ専攻学士課程に在学。2018年6月に演奏家ディプロマDNSPMを取得した。
2018年9月より、同校のクラヴサン―通奏低音専攻修士課程、及び古楽ハープ学士課程在学。

ピアノを冨永啓子氏、チェンバロを石川陽子、大塚直哉、西山まりえ、Y.レヒシュタイナー、J-M.エイム、D.ベルナーの各氏に師事。
古楽ハープを西山まりえ、A.モイヨンの各氏に師事。

2014年3月に初のソロリサイタルを萬翠荘(愛媛)にて開催。
2015年3月には『ハープ祭り2015(西山まりえ氏主宰)』において、『プチっとリサイタル』に選出され、ゴシックハープで出演する。
東京芸大在学中より様々なアンサンブルとも共演し、ソロ、通奏低音共に研鑽を積んでいる。

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